経験談です

 データが古いことをまずお詫びしておく。僕が『現役・第一線で働いていた頃』のお話なんで(でもワタクシまだ働き盛りの年齢なんだけど。自堕落生活に味しめちゃって…こういうヤツが居るから、日本経済が…)。

 ヤマト宅急便と佐川急便。その比較。単なる一つケース、一つトラブルをあげつらうわけではない。それこそ年間二百数十日を数年に渡って使用し続けた取引相手としての実感を、出来る範囲で書いてみようか。


 ヤマト。
 サービスはほぼ満足のいく内容だったと思う。トラブル処理も迅速。電話すると各営業所の担当者、事務所の所員が出る。顧客からすれば、『実際に自分の荷物を扱った人が、本音で語ってくれてる。』というのが伝わった。

 小規模荷物の取り扱いは、ネットの普及もあって個人レベル・民間レベルまで完全に浸透したが、では『個人レベルにありがちな客のわがまま』をどう対応しているのか?ヤマトの対応は、『それはサービス内容に無いので出来ません。』だった。

 誤解の無いように言うと、完全に顧客であるこちらの無理難題であることがほとんどである。『明日の午前中に、離島に荷物届けたいんだけど。』とか、『クライアントの希望なんで、トラック満杯のOA機器を明日中に。』とか、『東名走る関東行きのトラック、あと20分待ってほしい。』とか、『数出してるんだし、値段半額にしろ。』とか、『バック無いんか(わー犯罪だ、時効だ、時効)。』とか。

 そゆ無茶は、ほとんどヌルリと回避された記憶がヤマトにはある。たまたま担当のレベルが上だったかもしれんが。顧客への回答はどうするかというと、各所から集まった要望・クレームを集約した結果での、『全国共通のサービスの底上げ』で行なっていた印象がある。市町村の合併や航空貨物の変更、新道路建設などあったら、すぐに営業担当者が飛んで来て、『この地域の配達状況は“こう変わります。ここは午前中配達可能になります”』というリストを持ってきていた。


 佐川。
 あんまり印象は良くない。荷物の『ダメぽ率』は格段に高かった。指定配達や各種サービス便もヤマトの後発でやっていたようだが、細かい遅れや情報開示の不透明さ(何時に着くのか、何度担当を問い詰めてたことか、苦笑)において、後発の印象を最後まで拭えなかった。だから佐川がISOを取得した時は爆笑しました。『どうせ本社組織のシステムで認定受けたんだろ。いいなあ、“大企業さん”は。いざとなったら「別組織です」なんだろうなあ。』と仲間うちで言ってたもんです。

 しかし、年数重ねるとさすがに少しづつではあるが、小口輸送のサービスが向上していったのも確かではある。CMで『セールスドライバー』とか言ってるだけはある。あのCMは顧客へ向けたものではないと個人的には思っている。全国のドライバーに向けて、『これだけのこと言ったんだし、オマエラ解ってんな!』だと(笑)。ヤマトとの比較になるが、電話するとその地域のサービスセンターにつながり、直接ドライバーや店舗につながる形態ではなかった。単に業態の違いなんで問題はないとは思う。一元管理はしやすい反面、地域とのつながりは少し薄いところはあった(最近は地域型へシフトしてるのかな?)。

 良い面を。大口貨物に強く、前述のヤマトだと苦い顔する話も引きうけ率が高かった。業界の人間じゃないので詳細は不明だが、大型・長距離輸送の太いルートを確実に持っているものと思われる。大企業相手に強いのも魅力。仕事として使うのには、クライアントとの微妙な関係も考慮して『佐川で。』ということも度々あったのも事実。あと最近もあるのか知らないが、ちょっと前の佐川なら、『積むもん積めば、北海道だろうが沖縄だろうが、確実に荷物届ける(届いた)。』というものあった。チャーター便を数顧客で使用する形なのだろう。一言で言えば、『豪腕』。荒っぽいが頼りになるというところだろうか。